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 2012年、アメリカの3大ネットワークの一つ、CBSがニュースサイトに「初音ミクは世界で最も偽者のポップスターだ(Hatsune Miku The world’s fakest pop star)」という記事を掲載し、炎上した出来事があった。

「ミクはポップスターの中では特殊な存在で、薬物やアルコールをやらないし、明け方にナイトクラブから出て転ぶのを撮影される心配も無い。しかも、コンサート会場の外で見かけることもない。なぜなら、ポップスターの偽者(fakest)の一種で、ホログラムだからだ」

 こうした排他的な反応は、なにも海外だけのものではない。初音ミクの発売から始まり、今年で7年を迎えるVOCALOIDムーブメントに対しても、「がくっぽいど」の音源提供者であるGACKT氏、「ギャラ子(gyalaco NEO)」の音源提供者である柴咲コウ氏といった好意的に関わってくれる人がいる反面、今尚世間一般の反応は「オタクのおもちゃ」「機械の歌声」が多い。

 しかしBUMP OF CHICKENは、初音ミクを温かく迎え入れてくれた。

「初音ミクというキャラクターに対しての僕なりの見解として、初音ミクは音符そのもの、音の響きそのものだというイメージがあったんです。ユーザーは自分の想いを旋律と言葉で指定して、それを忠実に再現していくキャラクターだという。思想や善悪も何もなく、純粋に音符として、響きとして存在している。(中略)歌を再現するということに対して、とても忠実で、誠実である。そういうところにすごく共感したんです。」

 生身のプロアーティストとVOCALOIDのデュエットは前代未聞である。しかもバンド初のコラボアーティストがまさかのVOCALOIDであったのだから、どちらのファンであっても驚きは禁じえなかったはずだ。コラボレーションは賛否両論を呼び、「オタクに媚びた」「幻滅した」といった批判意見も多い。

 だが私はこのコラボ楽曲「ray」を大きく評価したい。

 「ray」は特別初音ミクのために書かれた楽曲ではないようで、歌詞は「ある日の風呂上がりにバーッと書いた」と答えられ、コラボも「斬新かつ前衛的に楽曲の持つ新たな方向性を提示するため」だとされている。ゆえにBUMP OF CHICKENが送る「ストレートなエール」の色が濃く、懐の深い応援歌となっている。  「ray」はこれだけでは終わらない。ミクありバージョンではまた違った趣きを見せる。初音ミクが曲名のray(光線)よろしく投射されることにより、応援歌は更なる応援者を得た。しかもただの応援者ではなく、共演者で楽器という特殊な存在である。だからこそ、「ストレートなエール」は他意で濁ることなく更なる応援者を迎え、その懐をより深くしたのだ。楽曲の柔軟性は、そのまま生み出したBUMP OF CHICKENのポテンシャルの高さを物語っている。媚びの一切ない自然体なコラボは、そう簡単に真似できるものではないだろう。

 こういったコラボは時期の前後はあっても、まず間違いなく行われていただろう。とはいえこれほどまでの理解者がコラボしてくれたかどうかは分からない。だからこそ一VOCALOIDファンとして、改めて温かく迎え入れ、共に歌ってくれたBUMP OF CHICKENに深く感謝したい。

 

羅田灯油さんの紹介でした。

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